「はっはっは」と高笑い してる場合か!!また一月過ぎようとしとるぞ。ええんです、マイペースですか ら。もうこうなったら居直りを通り越してます。で、今回の話題は夜中に現れる 奇妙な現象のお話。

「もうそろそろみたい」とか、「今晩が怪しい」と か、家人が毎日のように云うので、そっとベランダの硝子戸を開けて様子を見 る。
「まだみたいやな」とわたしが云うと「きっと、明日やね」と決まって同じ言葉 を返して来る。毎夜毎夜いったい何が始まるのか不思議な会話が囁かれる。そん な日々がこのところ続いていたが、昨日の夜に念願かなって?やっと咲きまし た。「月下美人」。
 ま、写真がすぐに目に入るので、もったいぶった導入部もあまり意味が無かっ たかも知れないけれど、昔は非常に珍しい花だったようで、たしか国語の教科書 に、この花の開花日記のような文章があったように記憶している。小中高いつの 時代だったか記憶は定かでは無いが、写真も載っていて大輪の花の印象は、当時 花になどあまり興味のないガキにとっても妙に印象が残っている。多分一生お目 にかかる事は無いだろうと思っていた。
 その花が我が家にやってきたのは結構昔のことだが、もう10年ほども経ってい るだろうか。義理の兄がある日突然持ってきて置いていった、来た時には当然花 など咲いて無くて、奇妙な長い葉っぱの見てくれの良く無い(観葉植物では無い ので当然かも知れない)鉢植えで、二三年忘れられた様にベランダに放置されて いたが、ある年突然に一輪咲いてからは毎年のように花を咲かせている。私は良 く知らなかったが、今年は2回めだと家人は云う。
 毎年花が咲いたら写真を撮っておこうと思っていたが、紺屋の白袴というべき か、我が家には家人の使っているコンパクトカメラしかなく、しかも大抵フィル ムが入っていない。今年も見るだけの年が続いていたが、デジタルカメラになっ てからは、普段からずっと持ち歩いているので、一昨年あたりから、撮影してい る。
 今年は力を入れてC社の1000万画素デジタル一眼で挑戦したが、撮影してから 画像を確認すると、どうも微妙にブレている。三脚もセットしたのにおかしい と、思っていたら、なんと、一秒程の露光時間にどんどんと開花しいてると云う 事に気がついた。いつになったら落ち着くのか解らず、再撮は断念したが、たっ た一晩しか咲いていない不思議な花を次回撮れるのは来年になる。
 えーい!来年は1200Wのストロボ使って止めてやるぞ!!
ちょっと無気味な花だけど、意地になってしま う被写体である。

2003年10月14日「月下美人」