2004年1月18日

「SARS」

 SARSについて 書こうと思っていたのだけれど、BSEのあとにでは、ちょっとなあと考えた末 に、やっぱりSARS。
 去年の11月に2度にわたって深川に行ったことはこのコラムでも書いたけれ ど、SARSの発生している広州はほんの少し北の都市。去年も発生しているし、南 の都市の香港でも発生しているので、おそらく今年も発生するだろうが、私がい た頃はSARSなんてかけらもなかった。TVでもほとんど関連した放送はなかった し、町中でもマスクをした人などはいなかった。
 そういえば5月末にパリに行ったときはSARSの流行真っ最中だった。ソウル経 由で関空から出発したが、関空や機内では日本人が何人かマスクをしていた。恥 ずかしながらわたしたちも持っていったのでちょっとだけつけていたが、パリに 近付くにつれてバカバカしくなってやめた。もちろんパリではだーれもマスクな どつけていなかった。この渡航ではSARSの発生した国にはまるで入国していな い。なのに、帰国するとSARSは大丈夫かとか、しばらく逢わないでおこうとかい う人たちがいた。
 深川から帰ってそろそろ2ケ月にもなろうとするのに鼻をぐずぐずいわせてい たりするとSARSじゃないかなんていうひともいる。きっと風邪の一種と思ってい るのだろう。SARSの一番の特徴は高熱なのに鼻水垂らしながらでも平気でいる人 間が感染しているわけがない。あまりにも病気に無知なのと、自分は何もしてい ないから絶対に大丈夫、他人に対してはそれらしきことがあるとここぞとばかり に話題にする。
 以前雑誌でHIV(血液製材感染症、所謂エイズ)の患者さんを取材したことが あった。本来担当しているカメラマンが拒否したために私に回ってきた仕事だっ た。取材前日に家人に話をしたところ、風邪を引いてないだろうなと、詰問され た。もちろんそんなことはないけれど、別に風邪を引いているからHIVに感染し やすいとかいうものではないだろうというと、「なにを考えているの、抵抗力の 全くないHIVの人にとって風邪をうつすことは致命的な問題なのよ」と言われ た。今でも思い出すと恥ずかしい。

写真は深川の露店で見かけた食材。一瞬うわさのハク ビシンかと思ったが、どうも犬らしい。