2004年8月2日

「ダルサイナ」

 前回のコラムはなんの関連もない二つの事件のからみ で、書かざるを得ないタイミングだった。ほんとうは、今回のものを先に書くは ずだったのだが前後してしまった。まあ、べつにどうということはないけれど。

 知り合いのギタリスト(Clasic)の御弟子さんのF君 が、十年以上前に独立してコンサートを開いた時に、写真と VIDEOの撮影をした 事がある。当時彼は二十歳位だった。その後彼はスペインのAlcoy(アルコイ)と いう町へ行き、師匠の師匠であるホセ・ルイス・ゴンザレス(亡くなったが、ク ラシックギター界ではとても有名なギタリストだった)に師事して修行に励んで いた。1995年の地震の後、彼が一度帰国した時に会ったようにも記憶している が、はっきりとは思い出せない。
 当時のことはあの数十秒の暗闇の中の体験と、その後の一日くらいは鮮明に覚 えているが、後は断片的に妙におぼろげな記憶しかのこっていない。覚えておか なければ行けない事と、忘れてしまいたい事が沢山あったからかもしれない。

 それはさておき、5月の中頃に突然F君からのメール がスペインから送られてきて、7月に二三週間帰国するので久しぶりに会いたい と云ってきたので、それはそれはと快諾した。
 F君は帰国して少し東京で仕事をしたのち、一週間後くらいに神戸の実家に 戻ってきた。神戸の街は十年足らずの間に様変わりをして、以前暮らしていた街 が迷宮のように感じて、右も左も解らなくなったと云っていたが、さすが音楽家 だけに楽器屋さんはしっかり覚えていたので、神戸元町商店街の入り口で待ち合 わせをした。
 事務所が近いので、わたしは彼よりも少し早く待ち合わせの場所に着いた。こ こには以前大きな楽器屋さんがあったのだが、現在は少し外れたところでこじん まりとしたお店になっている。
 さほど待たないうちにF君がやってきた。昼時なので近くの店、このコラムで は何度も登場している「蛸の壷」で昼飯を食う事にした。Alcoyでも自炊すると きはほとんど日本食(とはいっても丼ものみたいなものらしいが)で、帰国しても 和食が多いらしい。
 少し長くなりそうなので続きは次回。こんどは早めに上げるつもりです。

写真はタイトルのダルサイナ?と土産に貰ったAlcoyの お酒。