2004年11月21日

「電源アダプターの失踪」

 一年半ぶりにパリにやってきた。家人が「死ぬまでに一 度ルーブル美術館を見たい」などと、病床に伏した老婆のような事を宣わったか らだ。家人は普段、元気はつらつオロナミンCの如くピンピンして働いている。 宣われた私の方が慢性金欠病などの諸症状で死にそうだったので「おっと、奥様 それならお供いたしやすぜ」と快諾した。
 お金以外はすべて私の手配で動くツアーなので旅行代理店プラス添乗員プラス いつもの横柄な亭主というパラドックスを兼ね合わせたマジカルミステリーツ アーの始まりはひと月以上も前から進行していたが、出発日の前日まで個人的な 準備というものは全くに近い状態でなされていなかったというよりも、いつもの ように放りっぱなしにされていたのであった。
 前回のパリ行きの時点でただいま入力しているPowerBookを購入し、それから は海外も国内も私の傍らにずっと一緒にいる、とても、愛い奴(ういやつ)なのだ が、実は今回の荷物の中に、Powerbookの電源アダプターを入れるのを忘れてい た。本人にとってはちゃんと入れたつもりでございます。購入以来時から500日 以上のハネムーン状態だったのだけれど、ないものは、なかった。ホテルに到着 してその事に気がついた時点で私の頭の中でノートルダム寺院の鐘ががんがんと 鳴り響いた。
 で、もう諦めてこのまま日本に戻ろうかと思っていたら、ホテルのご近所で Appleのコンピュータばかり置いて仕事をしているお店発見。飛び込んで Apple ストアはパリにあるのかと訊いてみると、近所に大手電気屋さんのfnucがあると いう。早速行ってみたら、なんでこんなものが山ほどあるのかと思うくらい電源 アダプターが積まれていた。PowerBookを見せて、これに使えるのかと訊くと問 題ないという事なので、当然一個だけ購入した。日本で9800.なのだが、こちら では105ユーロ。約15000.-もするが背に腹は代えられない。おかげでなんとか アップする事が出来るのだが、やっぱり前回と同じく茶場ネットさんにお世話に ならなくてはならない。パリはネット事情がむちゃくちゃ遅れているのだ。

写真はサン・ジェルマンのカフェ「ル・ドゥ・マゴ」 にて